ブティックオーサキのお洒落対談 vol.3
Beauty column...

臨床心理士・大学教員 生田倫子さん × ブティックオーサキインターナショナル代表取締役 大崎

価値観に基づいた心の動きを理解することがより良い人間関係を築きます」

 

今回は、臨床心理士の生田倫子さんをお迎えしました。
人間関係を円滑にしていくためには心の動きや考えを理解して解決できるように導くと仰る生田さんのお話は、とても興味深いものでした。
専門家から学ぶことは多くあります。ご活躍の内容をいろいろと伺ってみました。

 

―生田さんの活動について伺ってみました―
 

大崎:「生田さんは臨床心理士として大学や公共機関などで指導されていらっしゃいますが、具体的にはどのような活動をされていらっしゃるのでしょうか」
 

生田:「私の今の仕事は、大学や大学院で臨床心理士の養成を行いながら、実際の臨床現場でカウンセリングもしています」
 

大崎:「臨床心理士になるには、また生田さん自身はどのような道筋なのでしょうか」
 

生田:「臨床心理士は、指定の大学院を卒業し、臨床現場を経ることで受験資格があります。また、私のように大学で教える場合には、さらに大学院の博士課程で博士号を取得した上で、臨床現場も積みつつ大学に就職します。私の場合は、最先端の臨床心理を学ぶためにアメリカに毎年行って、アップデートしながら現場に役立ててもいます」
 

大崎:「専門性の高い仕事ですが、生田さんはどのような分野を得意とされているのですか」
 

生田:「臨床心理には専門がそれぞれありますが、私の場合は青少年の諸問題から家族問題、組織トラブルが専門です。家族では、子どもの問題、嫁姑のトラブル、会社ではパワハラやセクハラ、精神的な問題、人間関係への対処などが多いですね。海上保安庁のコンサルもしております」
 

大崎:「海上保安庁では先生の言うことは聞いてくれますか?」
 

生田:「私が入るときは、もう上の決定があってですから。ビシっと聞いてくれます。表向きだけでないといいのですが(笑)」
 

大崎:「会社組織も同じですね。上から言うと皆聞いてくれますよ」
 

生田:「そうですね。指示系統がはっきりしている場合は有効です。会社内のトラブルは、関わる者が複数になると難しくなるので、そういった場合は第三者が間に入っていかないと解決しにくいことも多いと思います。ブティックオーサキさんはいかがですか」
 

大崎:「以前は社員が70名以上いたので大変でしたが、現在は少数精鋭で選び抜かれた30名ほどでやっているので問題ないですね。とても良い状態です」

 

―社会のどの集団に属しているかで見え方はまったく違うと仰る生田さん。価値観の違いはどのように解決すれば良いのでしょうか―
 

大崎:「先日、大ケンカしている母娘の仲裁をしたことがあるのですが、二人だとお互いの意見を譲らないので、外部の人間が入った方が良いケースもあるのだと実感しました」


生田:「人間関係の問題は、どちらも相手に原因があると思っているから、トラブルがエスカレーションするんです。素人は問題が起こると、どこかに原因があるはず、それはなんだろう、という?直線的な因果論“で問題解決しようとして専門家のところに来るんですよ。私が行っている最新のブリーフセラピーでは、原因はあえて考えないんです。どのみち、相手が原因、自分は結果だと思っていてこじれているので」
 

大崎:「生活しているといろいろな問題が出てきますが、息詰まることもあるので、専門家の手を借りて視点を替えて解決することも大事ですね」
 

生田:「そうですね。例えば私たちは自分の環境下で経験することが常識と思ってしまうことが多いですが、個人の生活はさまざまであることを再認識することも大事なんですよ。価値観の違いでトラブルが起きるわけですから」
 

大崎:「私は高校生の時に、大人になったら社会性があった方が良いと思い、そこに個性がきらめくのが理想だと思ったんですね。両親の会社を継ぐにあたり、感性を磨くための経験もさせてもらいました。でも、一般的には社会性があるだけで過ごしている方が多いような気がします」


生田:「日本人は?自分が普通″という感覚が強いですが、自分が普通だと思っている世の中がすべてではない。だから価値観の多様性は認めるべきなんですね」
 

大崎:「相手の心の紐をほどいていくような仕事と思いますが、やはり難しさはありますか」
 

生田:「トラブルは時間と共に進んでいくし、内容も刻々と育っていきます(笑)。時系列で動くので、最初のポイントを解決するのではなく、私たちが「トラブル」と並走して一緒に動いていく技術が必要なんですね。それは難易度の高いことなので大変ですが、問題を解決する糸口を見つけていく作業は面白いですね」
 

―何事にも多様性がありそれらを知ることでさまざまな解決へを導くようです―


生田:「大崎社長はイタリアに留学され海外のファッションについてよくお分かりと思いますが、海外と日本はどういうところが違いますか」
 

大崎:「靴のデザインはやはりイタリアに学ぶことが大きかったです。ヨーロッパ全体もそうですが、とくにイタリアと日本は共通性が多いと思います」
 

生田:「あら、心理学の分野でも、イタリアと日本はよく似ているんですよ。国際学会ではとても話が合うんです」
 

大崎:「やはりそうですか。家族の団結など、似ているところが多いと感じていました。ところで生田さんは靴のお悩みがあると聞いていますが」


生田:「私はもともと左右の足のサイズが違い、かかとが小さく甲が薄いので足が前に行く、加えて外反母趾など靴にはずっと悩んできました。片方に合せて調整するともう片方に負担がかかる。結局今は、サイズ違いの靴を2足購入して、左右違うサイズの靴を履いているほどで、いつも自分の足に合う木型をさがしているんです」
 

大崎:「生田さんのようなお悩みの方は多いので、オーサキではサイズ違いもオーダーできるんですよ。また、特殊な中敷きもあるのでだいたいの方たちの足をカバーできます。 外反母趾も靴でそうなったわけではなく、もともと外反母趾の骨格を持っていらっしゃるから酷くなってしまうのです。足は人相と同じように人によって個性や形があるので、臨床心理ではないですが、多様性があることを知って解決していくと良いですね」
 

生田:「そうなんですか。合わない靴をたくさん持っているので(笑)、大崎社長に一つひとつ解決していただきたいです!」
 

大崎:「ブティックオーサキでは機能性も常に追求した靴作りを研究していますから、ぜひこれを機に生田さんに合う靴を見つけていただきたいですね。本日はありがとうございました」
 


 

プロフィール


 

生田倫子
神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部 准教授 教育学博士/臨床心理士
日本家族心理学会常任理事、日本ブリーフセラピー協会理事長、内閣府青少年インターネット調査企画分析委員

 

東北大学卒業後、大学教員&臨床心理士として活躍中。家族や会社組織の諸問題を扱う、家族療法、ブリーフセラピーが専門。

著書「ブリーフセラピーで切り抜ける対人トラブル即解決法」日総研出版
★[ 輪島塗がある暮らし] 輪島塗とモダンインテリアの融合について執筆中。